ITIとは患者様の利益のために研究・開発・教育を通じ、インプラント歯学と関連組織再生のあらゆる知識の普及と振興を目指す世界的非営利学術組織です。
5月9日、10日とITI(TInternational Team for Implantology)が主催する全日本会議が行われました。ITIプレジデントのテキサス大学サンアントニオ校コクラン教授の開会の言葉に始まり、国内外の臨床家から2日間にわたってレクチャーを聞いて参りました。治療の標準化はもちろん、新しい技術や素材に関する発表も多々あり、たった2日間とは思えない濃い内容であっという間に終わりました。
現代インプラント治療の歴史はおおよそ50年の歴史です。その間、さまざまな試行錯誤が繰り返され、少しでも成功率を高めて患者さんの利益につながる発展を続けてきました。ですからインプラント治療は常に新しくあることも必要ですが、先人の行ったインプラント治療の評価や、実際の臨床に応用されるべき根拠を自分の目で確かめることもとても重要です。
近年のインプラントに関する学会、会議では新しい治療だけでなく、その予後について報告されることが多くなり、特にインプラント治療が成功した後、どのくらい維持できるのか、どのくらいの管理が必要なのか、再治療が必要になった時対処できるのか等、実際に使用する患者さんの最も心配される部分がデータの蓄積により実証されているように感じます。インプラント治療を生涯にわたって快適に使用するためにはいつ、どのような素材で、どのくらいもつことを目標とするか、見た目はどうしたいのか、体調が変化した時に再治療としてどう対処できるようにしておくのかなど、患者さんの希望だけではなく歯科医師としても治療の方針をきちんと立てて治療にあたりたいと思います。
4年前に研修に伺ったチューリヒ大学のヘンメレ教授と記念撮影