インプラント治療は恩恵は一度失くしてしまった機能を回復できるところですが、
残念ながら治療を受けたら100%の人が成功し続けることはありません.
予測不能な治癒を妨げる要因があったり、長く使う間には小さなトラブルが積み重なることもあります.
今回、先日出会った実症例とともに紹介します.
画像は折れてしまったインプラントですが、ただ噛む力に負けて折れたわけではありません.患者さんは出張が多く、なかなか定期的なメンテナンスに通えず,何度か腫れたことも自覚はしていたけど,仕方なくそのままにされていたそうです.その間に少しずつインプラント周囲の炎症により骨が吸収し,インプラントを支える骨が少なくなり、最もこのインプラントの弱い部分に力が集中した時に耐えきれなくなってしまったのでしょう.
このように骨に埋めてある部分が折れると,そのまま使い続けることは出来ないので,顎の中から取らなくてはなりません.最近ではネジを組み合わせてインプラントを引き剥がすキットもありますが、折れてしまったインプラントはインプラントの周りの骨を削り取って骨ごと摘出します.
歯のように細胞がない組織と違い、骨は細胞によって再生されます.今回摘出した部分の骨は再生した後に改めてインプラント治療を受けることが出来ます.
次は同じ結果にならないよう、定期メンテナンスにも通われるそうです.
もちろん少しでも起こりうるトラブルを減らすために、今までの治療を振り返って治療成績を調べたり、新しい技術・製品を開発したり、より良い治療となるよう努めています.こうしたデータを元に、患者さんの個人個人のもつ条件を加味して,本当に必要なインプラントを選択しています.